2015年05月29日
偏差値40からの東大受験~正攻法でつかんだ合格~4
第3話 団長との出会い
2010年4月1日。
後楽園駅に降りる。
東大の本郷キャンパスから、丸の内線でわずか1駅。
東大を身近に感じられる場所だ。
ここに、河合塾本郷校がある。
駿台お茶の水校と並ぶ、東大受験生の聖地だ。
数年前は、文系→河合塾。理系→駿台と言われており、
僕も例に違わず河合塾を選択した。
本郷校は、その中でも東大浪人専門校舎であり、
全国から東大を目指す猛者達(少なくとも一度敗れた猛者達)が集まっていた。
塾・予備校なら当たり前の話だが、
この東大専門校舎でも、最初にクラス分けのテストがあった。
結果は…言うまでもない。
圧倒的なビリの点数をたたき出し、下のクラスに入った。
言い訳をしよう。
・オリエントの意味すら分からなかった。
・sinとcosの定義を知らなかった。
・地理は一度も勉強をしたことがなかった。
こんな状態で上のクラスにいけるだろうか?答えは圧倒的ノーである。
話をもどそう。
4月1日は、ガイダンスのために登校したのだった。
適度に温度調節をされた綺麗な教室に、30人程のクラスメイトが集まった。
自習室の使い方やら、授業カリキュラムやらの説明をつらつら受ける。
そして、重ねたら3,40センチはありそうな、教科書・問題集を配られた。
それらをカバンに詰め、帰り支度をしていたとき
「これ…荷物やばくない?」
性格の良さそうな好青年が話しかけてきた。
見ると、彼の荷物はたしかに「やばい」。
カバンの中には、彼が持ってきたらしい問題集がたくさん入っていた。
教科書を入れる余裕は、もう無いだろう。
「これ使っていいよ」
たまたま持っていたトートバックを渡す。
「おーマジで!すまん。ありがとう。てか名前なんて言うの?」
「えだっちだよ。よろしく!」
「えだっちか、本当にバッグありがとな。俺は団長。高校で応援団の団長やってたんだ。」
「そうなんだ!かっこいいじゃん。さてはそれで浪人したクチ?」
「おう。高校はそれしかやってないわ。でも後悔はしていない。笑」
団長は中身も好青年のようだった。
明るく、実直、努力家というイメージ。
東大でも応援団に入り、団長になりたいと言うから、よほど応援が好きなのだろう。
話しながら歩いていると、あっという間に後楽園駅についた。
彼はどうやら方向が違うらしい。
「それじゃまた明日!」
「おう、またな!」
団長の存在は、浪人中、最大にして最高のライバルとなった。
このときはまだ、そんなことは知る由もないのであるが…。
さあ、明日から授業が始まる。
「必ず東大に行く」
僕は改めて心に誓い、明日に備えて早めに眠りについた。